海色の世界を、君のとなりで。
◇
「栞ちゃん!」
ひらひらと一枚のチラシを持ってきたのは、すっきりとしたハーフアップをしている可奈。
暑い夏にピッタリの、爽やかで涼しそうな髪型だった。
なんでも似合うな、と心の中で少し羨ましく思ってしまう。
「夏祭り、今年もやるんだって!」
心底嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねる可奈に微笑みながら、差し出されたチラシに視線を落とす。
そこには、毎年行われる祭りの情報が大きく書かれていた。
この祭りは、田舎であるこの辺りでは一番二番を争うほどの大きなイベントであるため、学生はもちろん、沢山の人が楽しみにしている夏の風物詩のひとつでもある。
いつもはやくから情報が出回り、この時期になると誰もが友達や恋人と一緒に行く約束をして、ワクワクし始めるのだ。
「日付、大会と被ってない?」
「それがね、ちゃんとずれてるの!ラッキーだねっ」
そう言って可奈は、ぱあっと満面の笑みを浮かべた。
それもそうだ。
なにせ去年の夏祭りは、バスケットの大会と被ってしまい、行くことができなかったのだから。
朝早くから夕方まで試合をして、帰ってから祭りに行く余裕なんてなかった。
だから、去年はわたしも可奈も、残念ながら祭りには行っていない。
だからこそ、今年はどうか被らないでほしい、と思っていた。
「栞ちゃん、一緒に行こうよ」
目をキラキラと輝かせる可奈に頷く。
もちろん、と言うように、強く。
「やったー!嬉しいな、今から楽しみすぎる!」
ばんざいをしている可奈を見ていると、私もとても嬉しくなる。
こんなに喜んでくれるなんて、思わなかったから。
「ねえ、栞ちゃん浴衣着る?もちろん夜までいるよね?かき氷とか綿飴とか、食べたいなあ」
はやくも祭りに思いを馳せて、「あー、どうしよう」と言いながら頬に手を当てる可奈。
そんな彼女を見ていると、自然と笑みが溢れた。
「ふふっ。気がはやいなあ」
「だって楽しみなんだもん!」
「栞ちゃん!」
ひらひらと一枚のチラシを持ってきたのは、すっきりとしたハーフアップをしている可奈。
暑い夏にピッタリの、爽やかで涼しそうな髪型だった。
なんでも似合うな、と心の中で少し羨ましく思ってしまう。
「夏祭り、今年もやるんだって!」
心底嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねる可奈に微笑みながら、差し出されたチラシに視線を落とす。
そこには、毎年行われる祭りの情報が大きく書かれていた。
この祭りは、田舎であるこの辺りでは一番二番を争うほどの大きなイベントであるため、学生はもちろん、沢山の人が楽しみにしている夏の風物詩のひとつでもある。
いつもはやくから情報が出回り、この時期になると誰もが友達や恋人と一緒に行く約束をして、ワクワクし始めるのだ。
「日付、大会と被ってない?」
「それがね、ちゃんとずれてるの!ラッキーだねっ」
そう言って可奈は、ぱあっと満面の笑みを浮かべた。
それもそうだ。
なにせ去年の夏祭りは、バスケットの大会と被ってしまい、行くことができなかったのだから。
朝早くから夕方まで試合をして、帰ってから祭りに行く余裕なんてなかった。
だから、去年はわたしも可奈も、残念ながら祭りには行っていない。
だからこそ、今年はどうか被らないでほしい、と思っていた。
「栞ちゃん、一緒に行こうよ」
目をキラキラと輝かせる可奈に頷く。
もちろん、と言うように、強く。
「やったー!嬉しいな、今から楽しみすぎる!」
ばんざいをしている可奈を見ていると、私もとても嬉しくなる。
こんなに喜んでくれるなんて、思わなかったから。
「ねえ、栞ちゃん浴衣着る?もちろん夜までいるよね?かき氷とか綿飴とか、食べたいなあ」
はやくも祭りに思いを馳せて、「あー、どうしよう」と言いながら頬に手を当てる可奈。
そんな彼女を見ていると、自然と笑みが溢れた。
「ふふっ。気がはやいなあ」
「だって楽しみなんだもん!」