海色の世界を、君のとなりで。
「おつかれ、栞ちゃん。ナイスアシストだったよ!」
「あ……うん。ありがと」
試合終了後。
差し出されたドリンクを受け取ると、にこっと眩しい笑顔が向けられた。
彼女の名前は小鞠可奈。
わたしの親友である彼女は、わたしと同じバスケ部員で、試合後はこうしてサポートにまわってくれる。
ベンチメンバーであるにも関わらず、試合に出ているわたしに嫌な顔をひとつもせず、いつも話しかけてくれるのだ。
「今日の相手はすごく強いところなのに、勝っちゃうなんて。このままいくと、今年は全国大会出場できちゃうかも」
ふわりと花が咲いたように、嬉しそうに笑う可奈。
本当にバスケが好きなんだな、と心から思った。
「……いけたらいいね」
そう言うのが精一杯だった。
可奈はこんなにも純粋に、わたしのことを応援してくれているのに。
それなのに、わたしは。