君の甘い笑顔に落とされたい。
《柚琉、花戸さんたち呼んでもいーよね?》
久世くんの名前が突然出てきて、ドキッと胸が大きく鳴った。
そ、そっか……椎名くんは今久世くんと一緒にいるんだ。
そういえば4階から手振ってたもんね。
私たちの教室は2階だから、なんでだろうって思ってたけど……
4階には、第一音楽室があるんだ。
でも、いいのかな?
だって、そこは久世くんの大切な場所のはずなのに。
「あの、椎名くん、せっかくのお誘いだけど……」
《──なに、来ないの?》
聞こえてきた声に、一瞬息が止まった。
久世くんの声、だ。
電話越しだといつもより少し低く聞こえる。
そんなことに簡単にドキドキしちゃって、
やっぱり私って久世くんには弱い。