君の甘い笑顔に落とされたい。
「なんだよ」
ぱっちり、久世くんと目が合って。
表情を変えずにそう聞いてきた久世くんに慌てて首を振る。
「なんでもな……っいや、なんでもなくはないんだけど、その、」
あぁもうっ。
頑張れ、わたしっ。
「椎名!あんたさっき私のドラム聞きたいって言ってたよね?」
「えっ、俺そんなこと言ったっけ?」
「言った言った!言ってなくても今聞かせてあげる!」
「いま!?」
「そう!隣にドラム置いてあるから!」
そう言って桃ちゃんは突然椎名くんの腕を引っ張って、くるりと私の方を見た。
「じゃ、私は椎名と隣の音楽室行ってくるから」
「え、桃ちゃ、」
"が・ん・ば・れ"って、私にしか聞こえない声で、桃ちゃんはそう言って。