君の甘い笑顔に落とされたい。
久世くんのスマホが私からのメッセージを受け取って。
"久世くんと一緒に水族館まわりたい"
「……」
私の送ったメッセージを、久世くんはただ黙って目でなぞっている。
……どう思ったかな?引かれちゃった?
返事聞くのこわいな……。
久世くんが、ゆっくりと私に視線を移した。
ピクッと肩が揺れてしまう。
「──……」
久世くんの形の良い唇が、ほんの少し動いた時。
「──っ花戸さん!柚琉!授業はじまる!!」
ガラッと扉が勢いよく開いて、かと思えば椎名くんが焦った様子でそう言って。
それと同時に予鈴のチャイムが鳴った。
張り詰めていた糸がゆるんだように、
私と久世くんの間に流れていた空気が変わる。