君の甘い笑顔に落とされたい。
慌てて立ち上がって時計を見た。
午後の授業が始まっちゃう……
「ごめん茉白……あの大型犬言うこと聞かなくて……」
椎名くんに続いて第一音楽室に入ってきた桃ちゃんの手にはドラムのスティック。
「止められなかった」って、耳打ちで申し訳なさそうに言う。
「っううん、ありがとう桃ちゃん」
桃ちゃんのおかげで久世くんと2人で話す時間ができたんだよ。
頑張って久世くんの連絡先を教えてもらった。
でも……
"久世くんと一緒に水族館まわりたい"
この返事は、まだ聞けてない。
午後の授業も始まってしまうし、ここまで、なのかな。
仕方ないよね、うん……。
切り替えよう。
「教室もどろっか」