君の甘い笑顔に落とされたい。

桃ちゃんに笑いかける。

タイミングが良くなかったんだな、きっと。

神様、せっかく勇気をくれたのにごめんなさい。
結局、久世くんから返事をもらうことはできませんでした。


「ていうか椎名、あんた私のドラム演奏中に飛び出していくなんて何様?」
「ごめんって!ドラムすごかったよ!迫力あった」


桃ちゃんと椎名くんを後ろからぼーっと見ながら4階の廊下を歩く。

久世くんは、あの時なにを考えていたんだろう。
いつものように無表情だったから分からなかっ……


「っ、え?」


いきなり後ろから腕を引かれて、
バランスを崩してしまう私。



「……久世くん?」



椎名くんと桃ちゃんの声が少しずつ遠ざかっていく。

ど、どうしたの?急に引っ張って……
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