君の甘い笑顔に落とされたい。
「……いいの?」
信じられない。だって、ほとんどダメもとだったのに。
「いーよ。」
「な、なんで……」
誘っておいてなんだけど、私は、久世くんとは住む世界が違うような人間なのに。
こんな平凡な私と、どうして一緒にまわってくれるの。
「──おまえならいいかなって」
「……」
「そう思っただけ。」
呟くように久世くんはそう言った。
……私と久世くんの空間だけ、世界から切り取られたみたい。
桃ちゃんたちの声も、遠くの方で聞こえていた足音や話し声も、
今は何も、耳に届いてこない。
聞こえるのは、壊れてしまうんじゃないかってくらい鳴っている私の胸の音。
色々、言いたいこととか、聞きたいこととか。