君の甘い笑顔に落とされたい。
◇君とわたし
──────………
『ねぇ男子さぁ、もうちょっとやる気だしてよ』
『は?ちゃんと歌ってんじゃん。つかそんなマジにやんなくてもよくね?』
中学2年、とある秋の日の早朝。
合唱祭1週間前の朝練の時間に、隣のクラスから聞こえてきた会話はこんなもので。
音楽室からキーボードを借りてきた帰り道、
私は一緒に来てくれた友達と思わず顔を見合わせた。
『やばいね、なんかすごい荒れてる』
『そうだね……前はもっと仲良い雰囲気だったと思うんだけど』
『それはほら、あれじゃない?久世が学校休んでるからでしょ。』
男子からも女子からも人気者の久世くん。
同じクラスになったことはないけれど、廊下ですれ違うたびに、綺麗な男の子だなぁって思ってた。