君の甘い笑顔に落とされたい。
そんな久世くんは2週間近く学校を休んでいる。
体調不良が続いているみたいだった。
『たかが合唱祭のために朝早く来るとかアホらしいだろ』
『なにそれ……うちらのクラス1番ひどいってちゃんと分かってんの?』
『あーはいはい、ただの指揮者さんが出しゃっばってまーす』
『うわぁ……』って、友達が眉を寄せる。
私も、キーボードを持つ手に無意識に力が入ってしまった。
キッと男子を睨む女子。
その目は今にも涙がこぼれ落ちそうで。
頑張って合唱祭を成功させようとしているのに、上手くいかない。
そんな悔しい気持ちが見ているこっちにも伝わってきた。
『なに?泣きそうになってんの?女子はいいよなぁ。泣いたら誰かに助けてもらえるもんなぁ』