君の甘い笑顔に落とされたい。

わたしは──……



『──なに、この空気』



その声に、全員が教室の後ろ扉に視線を移した。
表情を変えることもなく、その男子はスタスタ教室の中に入っていって。

中心で泣いている女子と、その子と向き合っている男子を見る。



『おまえが泣かせたの』
『いや、こいつが急に……』

『ふーん……ま、朝練だるいとかそんなこと言ったんだろ』
『う、』

『いやま分かるけど。部活の試合近くてそれどころじゃないって気持ちは。』



ざわっ、と、教室の空気が変わった。
『なんで知ってんの?』って、本当に驚いたような声に、その男子、久世くんは、


『は?逆になんで友達の大事な試合のこと知らねーと思うんだよ』
< 145 / 284 >

この作品をシェア

pagetop