君の甘い笑顔に落とされたい。
わたしは──……
『──なに、この空気』
その声に、全員が教室の後ろ扉に視線を移した。
表情を変えることもなく、その男子はスタスタ教室の中に入っていって。
中心で泣いている女子と、その子と向き合っている男子を見る。
『おまえが泣かせたの』
『いや、こいつが急に……』
『ふーん……ま、朝練だるいとかそんなこと言ったんだろ』
『う、』
『いやま分かるけど。部活の試合近くてそれどころじゃないって気持ちは。』
ざわっ、と、教室の空気が変わった。
『なんで知ってんの?』って、本当に驚いたような声に、その男子、久世くんは、
『は?逆になんで友達の大事な試合のこと知らねーと思うんだよ』