君の甘い笑顔に落とされたい。

《で、おまえ本当に体調は平気?まだ話せる?》
「え、う、うん、大丈夫だけど……?」



こんなにドキドキしているのは私だけ。
久世くんはいつもの調子で私に話しかけてくる。

悔しいなぁ。
久世くんも、私のことでドキドキしてくれないかな。

なんて、そんなの奇跡に近いことだけれど。



《じゃあ、ほら、これ見える?》



見える?ってなにが……
不思議に思ってスマホを耳から離し、画面を見てみる。

いつのまにか久世くんがビデオ通話を始めていて、画面には水色の水槽と、そして色とりどりの魚が泳いでいた。



《これで一緒に回ってるみたいだろ》
「っ、」



あぁ、もう、嬉しい。
一々ドキドキさせるようなことを、久世くんは簡単にしてみせるから、本当に敵わない。
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