君の甘い笑顔に落とされたい。

そもそも、本気かどうかも分からないし……



『水族館の埋め合わせ、ちゃんとしろよ』



不意に名前を呼ばれたあの日、久世くんはこう言った。
言ってた、けど、本気にしちゃってもいいのかな。

期末試験のこともあって、今日まで久世くんとまともに話もしてない。
もしかしたら、自分の言ったことも忘れてるかも。


「でも、あの久世が茉白のことを名前で呼んだなんてねぇ……これはなかなかいい感じに進んでるんじゃない?」

「……いや、なんかもうあの日のことは全部私の妄想だったのかもしれないと思いつつある……」


『──俺に、会いにきてくれたのかと思ってた。』
あの言葉も、あの視線も、名前を呼んでくれたことでさえも。
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