君の甘い笑顔に落とされたい。

薄ら頬を赤くして顔をそらす。
今まで見たこともないその表情に、誰かに心臓をぎゅっと掴まれたように苦しくなった。


「(あーもうなにそれ……くそかわいー……)」


『……うん、大丈夫。ありがとう』
『私、やっぱりどうしたって久世くんがいい』


最初から、花戸さんは柚琉のことしか考えてなくて。
それ以外はなにも見えてなかった。

100%柚琉で占めていた気持ちの容量を、少しでも俺に分けてくれたことがうれしい。
それだけで、ほんとうに十分。



「勘違いすればいいのに。」



……なんていうのは綺麗事で。
そういう顔をみたら、もっと俺にくれないかなって欲が出てくる。

もっと俺のこと考えて、意識してくれればいいのにって。


「っだから、からかわないで……！」