君の甘い笑顔に落とされたい。

映画館のある駅で待ち合わせということになった。

たしかに、HR前から盛り上がってたもんな。久世くんのグループ。

皆んな椎名くんに向かって何か言ってたから、話の中心は椎名くんだったのかな。


『勘違いすればいいのに。』


……いけない。
椎名くん言われた言葉も一緒に思い出しちゃったな。

冗談だって分かってるつもりだけど、そんなことを言う人じゃないと知っているから戸惑ってしまう。


久世くんのメッセージに返信をして、ふぅと息を吐いた。
とにかく今は久世くんに集中だ!

今日が終わってしまったら、たぶん2学期が始まるまで会えないんだから。


「──ごめん、待たせた」


聞き慣れたその声に、ハッとして顔を上げる。
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