君の甘い笑顔に落とされたい。
『デートじゃん!』って桃ちゃんに言われた時は、そんな大げさなものじゃないって思った。
でも、実際にこうやって待ち合わせをして、久世くんの姿を見たら……
「(デートみたい……)」
こう思ってしまうのも、仕方ないわけで。
放課後制服デートとか、本当のところちょっと憧れていたし。
「ううん!大丈夫……じゃあ、行こっか?」
「チケット俺買う。待たせたし」
「いやいやっ、恐れ多いので気にしないで」
「恐れ多いってなにそれ」
ふは、と吹き出す久世くん。
久世くんの隣に並んで、笑った顔を近くで見られるなんて、やっぱり夢見たいだよ。
「──映画何時からのやつ?」
「えっと……あ、これかな。席後ろのほうがいい?」
「いつもどこら辺で見てんの?映画好きのおすすめの場所知りたい」