君の甘い笑顔に落とされたい。

名前を呼ばれたことにはもちろんだけど、まさか久世くんからそう言われるとは思わなくてびっくりしてしまう。

甘いもの、好きなの……?
ていうかどうして急に?


「甘いの嫌い?」
「ううん、好きだけど……」

「ならよかった。あのベンチ座ってて。あれ買ってくるわ」


久世くんの視線の先をたどる。
駅前の広場、その中央にクレープのキッチンカーが止まっていた。


「美味しそう……」って無意識に呟いてしまっていて、そんな私の声に久世くんが小さく笑う。


「俺チョコのやつ。茉白は」
「私はいちごのかな……あっ、でも自分で買うよ」

「いーよ、遅れたお詫び。座って待ってて」


……もしかして、色々と気遣ってくれたのかな。
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