君の甘い笑顔に落とされたい。

っいや、そんなことより……


「あの、ありがとう、久世くん」


どうしようと思っていたから、本当に助かった。
久世くんから離れて、自分の胸をおさえる。

心臓、まだドキドキしてる。
いきなり久世くんに抱き締められたんだから、こうなるのも当たり前で。

場違いに顔が赤くなってないか、それだけが心配だ。


「久世くんのおかげで無傷だよ」
「ん」
「なんともないし……」
「……」

「だからあの、手、離してもらえると……」


片手は自分の胸に、そしてもう片方は久世くんと繋がったまま。

い、意識すればするほど、顔に熱が集まってしまう。


「っそうだ、クレープは?」


話を変えようとすると、久世くんは呆れたようにため息を吐いた。
< 217 / 284 >

この作品をシェア

pagetop