君の甘い笑顔に落とされたい。
っいや、そんなことより……
「あの、ありがとう、久世くん」
どうしようと思っていたから、本当に助かった。
久世くんから離れて、自分の胸をおさえる。
心臓、まだドキドキしてる。
いきなり久世くんに抱き締められたんだから、こうなるのも当たり前で。
場違いに顔が赤くなってないか、それだけが心配だ。
「久世くんのおかげで無傷だよ」
「ん」
「なんともないし……」
「……」
「だからあの、手、離してもらえると……」
片手は自分の胸に、そしてもう片方は久世くんと繋がったまま。
い、意識すればするほど、顔に熱が集まってしまう。
「っそうだ、クレープは?」
話を変えようとすると、久世くんは呆れたようにため息を吐いた。