君の甘い笑顔に落とされたい。
▲君の気持ちが知りたい。
「──えー2学期がはじまりましたが……」
9月、夏休み明けの体育館は蒸し暑い。
校長先生の話を聞きながら、パタパタと手で風を仰ぐ。
夏休みが来るまでは早く終わってくれないかなぁって思っていたけれど。
今は、ついに明けてしまった……って、思う。
チラ、と前の方に並んでいる久世くんを盗み見た。
『……私、久世くんのことがすき』
期待を込めて伝えたあの言葉。
こんなことになるなら、やっぱり言わなければよかったな……
『……』
あの時、私の言葉を聞いた久世くんは、一瞬困ったように眉を寄せた。
そんな表情を見たら、私の好意が迷惑なものなんだって、嫌でもわかってしまった。
『……っごめん!あの、友達として好きって意味だから……それじゃあ、今日はありがとう!バイバイ!』