君の甘い笑顔に落とされたい。
「やめちゃえば」
ぎゅ、と椎名くんの腕にさらに力が込められたのが分かった。
「柚琉を好きでいるのやめなよ」
「え……」
「俺にすればいいよ」
ドッ、と心臓の音が聞こえた。
私のものかと思ったら、どうやら違うようで。
目の前の椎名くんの音が、私にまで届いていた。
「俺は、花戸さんのこと好きだよ」
からかってる?って、そう言おうとした。
でも、そんな言葉、言えなかった。
「こんなになるくらい、本気だから」
頬も耳も真っ赤にした椎名くんを見たら、
微かに震えている声に気づいたら、
言えるわけがなかった。