君の甘い笑顔に落とされたい。

なんかもう、めちゃくちゃ可愛かった。


「(あーもう、どっかいけ、俺の邪念っ)」


その瞬間、ガラッと扉が開く音がした。
咄嗟に起き上がると、そこには思った通りの人物がいて。


「なにやってんの、実行委員」


なんて、そう言いながら当たり前のように音楽室に入ってくる。


「そこ、俺の席なんだけど?」
「わかってる……」

「いーよ、どかなくて。そのまま寝転がってろよ。疲れてんだろ」


ピアノの椅子に座って、ふ、と優しく笑う。
そんな柚琉に少し胸が痛む。

1年の頃から柚琉は変わらない。
表情の変化が分かりづらくてクールな奴だと思われることも多いけど、実際はただの優しい奴。
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