君の甘い笑顔に落とされたい。
そんなことされても全く嬉しくないってどうして分かんないんだよ。俺たち、友達なのに。
正々堂々勝負したかったのは、俺だけだったってこと?
「……俺は言ったよ。花戸さんに、さっき好きだって言った。柚琉がなにもしないなら、俺が掻っ攫うよ」
時計の秒針の音が音楽室に響く。
じ、と俺のことを見つめる柚琉が口を開いたのは、数秒の沈黙の後だった。
「あいつ、なんでおまえの前だとよく笑うの」
思ってもみなかった言葉に、「は……?」と眉を寄せる。
「おまえと一緒にいる時、いつも自然体なんだよ、あいつ。」
「俺の時は目も合わないし、不自然」なんて、少し不貞腐れたように続ける。
つーか、目が合わないのはそれだけ意識してるってことなんじゃないの?