君の甘い笑顔に落とされたい。
好きって言ったら、困った顔をしたでしょ?
だから、私からの好意は迷惑なものなんだって、ずっと思ってた。
夏休みが明けてからも一言も話さなかったのに……
久世くんは、何かを考えるかのような間をあけて、こう言った。
「友達と好きな人が被ったこと、ある?」
「……あ……」
頭の中に浮かんだのは優しく笑う椎名くんのことで。
もうそれだけで、久世くんがどんなことを考えていたのかが分かった。
「でもやっぱり譲れねーなって思ったから、今こうやって自分の気持ち伝えてるんだけど」
「もう遅い?」って、不安げに聞く久世くんに、きゅっと胸が鳴る。
……ずっと、久世くんに対する気持ちを忘れられたらいいって思ってた。