君の甘い笑顔に落とされたい。
「これは癖っ毛で……ていうか、そんなこと言ったら椎名くんもゴールデンレトリバー……」
「何それー」って、椎名くんが笑う。
可笑しくなって、私もつられて笑った。
「──あ、柚琉!」
着いた教室に入ろうと扉に手をかけた時、
椎名くんが久世くんの名前を呼んだ。
それに反応して、思わずバッと振り返る。
私たちがきた方とは逆方向の廊下の先。
久世くんが1人でこっちに向かって歩いてる。
1人だなんて珍しい……いつも色んな人に囲まれてるのに。
「取り巻きーズは?1人?」
「知らねー……教室いるんじゃない?」
「あーおまえ、またいつものとこで寝てたんだろ」
悪戯っぽく笑う椎名くん。
"いつものとこ"ってどういうことだろう?