君の甘い笑顔に落とされたい。
頭にはてなマークを浮かべていると、久世くんとぱっちり目が合った。
「大丈夫そ?」
膝に貼られた絆創膏に視線を移してそう聞いてくれる。
「……うん、大丈夫。ありがとう」
「ん、なら良かった」
呟くように言って中に入った久世を目で追った。
久世くんはきっと、私が椎名くんを好きだって勘違いしてる。
勘違い、したままでいいけど……でも、
久世くん、私ね。
私が好きなのは、久世くんだけなの。
「(……大好きなの。)」
心の中で、ゆっくりと呟いた。
「……」
ふと、椎名くんが私のことをじっと見ているのに気づいた。
"どうしたの"って意味を込めて首を傾げる。
「花戸さんて、かわいーねー……」
「……え、」