君の甘い笑顔に落とされたい。
私の声にハッとして、自分の放った言葉を理解して。じわじわと椎名くんの耳と頬が赤くなる。
「えっ!?あ!待ってごめん今のなしっ、忘れて!なんかほんと無意識で出て……はず……」
口元を片手で覆って、私から顔を逸らす椎名くん。
椎名くんは……感情が素直に表情に出るんだな……
そういうところにきっとみんな惹かれるんだ。
さっきの言葉も、うん、きっと何かの間違いだよねっ。
椎名くんの顔を覗き込む。
びっくりして目を見開いた彼に、私は小さく笑いかけた。
「椎名くんの方が可愛いよ。保健室連れて行ってくれてありがとう」
さっ、早く教室入ろ?
急がないと昼休みが終わっちゃう。
「えー……まじかー……」
"やられた"、みたいな顔をして、
赤くなっている椎名くんの小さな声は
私には上手く聞き取れなかった。
「可愛すぎるって……」