君の甘い笑顔に落とされたい。
*
ここだけの話、私は久世くんと同じ中学出身で、皆よりも少しだけ昔の久世くんを知っている。
同じクラスになったことはないけれど、遠くからずっと久世くんのことを見てた。
今と変わらず、いつも誰かに囲まれていて、皆が久世くんの名前を呼ぶ。
久世くんは、昔から魅力的な人だった。
「──茉白!見て、これ」
「なぁに?桃ちゃん」
休み時間にて。
桃ちゃんが見せてくれたのはとある雑誌の1ページ。
……"ドキドキ!好きなあの子と両想いになるおまじない"……?
へぇ〜。おまじないとか何だか懐かしいねっ。
「桃ちゃんもこういうの興味あるの?」
「いやいや!私じゃなくて、茉白に見せるために持ってきたんだよっ」