君の甘い笑顔に落とされたい。
ふざけたように言う桃ちゃんに、思わず笑ってしまう。
スマホを確認すると、あと数分でHRが始まる時間になっていた。
大変っ。急いで教室戻らないとっ。
「──茉白はさ、誰もいない教室だったから、自分の気持ちに素直になれたんだね」
「え?」
2人並んで階段をのぼる。
桃ちゃんがいきなり意味深なことを言うから、私の頭の上にははてなマークが浮かんでる。
「いや、かなり周りの目を気にしてるような感じがして。おまじないの時とかもそうだけど。」
「……」
「誰を好きになろうが自分の勝手じゃん?茉白はどうしてそう思わないんだろうって」
『──え?花戸さんってアイツのこと好きなの?』
『似合って無さすぎるでしょ。自分の立ち位置ぐらい知っておいた方がいいんじゃない?』