君の甘い笑顔に落とされたい。
でも、その瞬間、周りの目が一気に変わった。
『やめておいた方がいいよ〜』
『花戸さんじゃあ好きになっても意味ないよ』
クスクス笑われて、顔から火が出そうだった。
教室の隅にいるような大人しくて平凡な私と、人気者の男子が上手くいくわけないのに。そんなこと、考えればすぐに分かったのに。
『あ……あは、そうだよね……』
それでも少しでも夢を見てしまった自分が、とても恥ずかしくて、悲しかった。
「周りからも否定されて、自信なくしちゃったのかも。それなのに今も人気者の久世くんのことを好きになっちゃってるんだから、おかしな話だよね」
でもきっと、あの出来事がなければ、私は久世くんのことを好きになることはなかったかもしれない。