君の甘い笑顔に落とされたい。
*
「──ここ、テストにも出るとこだからちゃんと覚えておくように」
授業中。先生の言葉をノートにメモをしながら、私は桃ちゃんの言葉を思い出していた。
『自分のしたいようにすればいいんだよ!』
『応援してるからねっ』
……桃ちゃんに自分の気持ちを伝えることができて良かったな。
背中を押してくれて、とっても心強かった。
でも、ごめんね桃ちゃん。
やっぱり私には久世くんの隣にいる自分が想像できないや。
人気者の久世くんと、目立たない私。
久世くんの隣は、私じゃ釣り合わない。
ちらり、久世くんの方を見る。
私はこうやって、誰にも気付かれないように久世くんを見ているだけで十分。
「あ……」
その瞬間、ぱっちりと久世くんと目があった。