君の甘い笑顔に落とされたい。



「──ここ、テストにも出るとこだからちゃんと覚えておくように」



授業中。先生の言葉をノートにメモをしながら、私は桃ちゃんの言葉を思い出していた。


『自分のしたいようにすればいいんだよ!』
『応援してるからねっ』

……桃ちゃんに自分の気持ちを伝えることができて良かったな。
背中を押してくれて、とっても心強かった。

でも、ごめんね桃ちゃん。
やっぱり私には久世くんの隣にいる自分が想像できないや。


人気者の久世くんと、目立たない私。
久世くんの隣は、私じゃ釣り合わない。


ちらり、久世くんの方を見る。

私はこうやって、誰にも気付かれないように久世くんを見ているだけで十分。


「あ……」


その瞬間、ぱっちりと久世くんと目があった。
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