君の甘い笑顔に落とされたい。
「分かった分かった」
クスクス笑いながらそう言った久世くん。
久世くんの笑った顔を見ると、ぎゅっと、心臓を誰かに掴まれたみたいに苦しくなる。
好き、久世くん。
……だいすき。
「──授業、さぼっちゃって大丈夫なの?試験前なのに」
久世くんと2人きりなんて、やっぱり緊張しちゃうから、どうにかして会話の種をまいてみる。
久世くんはスマホをいじりながら、「なんとかなるだろ」って、授業に関しては大して気にしてなさそう。
「……久世くんはなんでもできるもんね」
中学の時から成績優秀だったし、スポーツも何でもそつなくこなしちゃう。
「なんでもできる奴なんて神様ぐらいだろ。俺にだって出来ないことぐらいあるよ」
久世くんの出来ないこと?
特になにも思い浮かばないけどなぁ……。