君の甘い笑顔に落とされたい。
「へ、」と、間抜けな声しか出せない。
く、久世くん、知ってたの?
私と同じ中学校だったってこと。
「合唱祭みてそう思ったんだろ。ひでーなぁ」
「いやいやっ、別にバカにしようとかそういう気持ちは全く……そんなことよりっ、」
「なに?」
「あの、知ってたの?私と、同じ中学校だったってこと……」
恐る恐る、久世くんにそう聞いてみる。
だって、私だけが、久世くんのことを見ていると思ってた。
人気者の久世くんが、目立たない私なんかのことを知っていたなんて、そんなことがあるの?
久世くんは小さく笑った。
スマホから視線を外して、私のくせ毛の髪を見る。
「中学の時はもっと長かったのに。切っちゃったの?髪。」