君の甘い笑顔に落とされたい。
ほっぺたを膨らますと、桃ちゃんは「ごめんごめん」と笑いながら謝る。
「でも本当に気になってるんだよ?どうして急にそう思ったの?」
「うぅ、からかわないでよ……?」
「そんなことしないよ。大事なことだもん。教えてくれる?」
私に向き直った桃ちゃんは優しい顔をしていた。
「……私、中学までは髪の毛長かったんだけどね」
久世くんがボブが好きっていう噂を聞いたから、思い切って短くしたの。そうしたらね。
『中学までは長かったのに。切っちゃったの?髪。』
「……髪を短くしたことに、久世くんが気付いてくれてたの。」
好みに近づきたいと思ってしたことに気付いてくれて、私、すごく、幸せな気持ちになった。