君の甘い笑顔に落とされたい。
校舎の窓から顔をのぞかせて、椎名くんがブンブンと手を振ってる。
「やっと気づいてくれた!」って、嬉しそうに笑う椎名くんの笑顔は相変わらず眩しくて。
「あはは、ご主人にしっぽ振る犬みたい」
うん、桃ちゃんの言葉、分からなくはない。
前に私のことをトイプードルみたいって言ってたけど、椎名くんの方がはるかに犬っぽい。
「中庭でお昼食べてんのめずらしーねー!」
「あっ、うん!天気良かったからっ!」
本当は私と桃ちゃんだけの秘密のお話をしたかったからなんだけど。
「たしかに!外で食べんの──、!」
中庭と、校舎の4階。
この距離でお話をするには少し遠い。
椎名くんの声を上手く聞き取れなくて、あわあわとする私。