弟子入りさせて下さい、生徒会長!
「えっと、海影さん・・・だっけ?」
先輩が顔を離して言った。
多分この先輩が生徒会長だと思う。
入学式の時に話していた人だ。
そして、後ろにいるドクロとブレスレットの先輩が耀義先輩・・・たぶん。
生徒会長の放った言葉に、驚いたように耀義先輩が私を見た。
信じられないといわんばかりの視線を向けてくる。
・・・別にそんな視線で見ることないと思うんだけどなぁ。
知り合いに海影さんがいるんだろうか。
結構珍しい苗字だと思うけど・・・。
「はい」
「海影 冬里って知ってる?」
ふわりと、でもなぜか少しだけ緊張のにじんだ声。
海影冬里に緊張することなんてないと思うけど。
だって海影冬里は・・・
「知ってるも何も私の兄ですが・・・」
「やっぱり」
生徒会長が王子様みたいな笑顔でそう言った。
なかなかの破壊力。
「えーっと、弟子入り・・・だったよね。話、聞くよ」
「おい、悠也」
生徒会長の言葉を遮るように耀義先輩が言った。なぜか少し心配しているような口調で。
「話くらいはいいでしょ。冬里先輩には借りがあるんだし」
生徒会長と耀義先輩が無言で、それに表情を変えずにらみ合っている。
・・・うん、完全に置いてけぼりですね、私。
「はぁ・・・わかった、好きにしろ」
大きいため息の後、あきらめたように耀義先輩が言った。