悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 理樹は、おっさん臭い意見ではなく一般論だ、と思いながら、その視線を横顔で受け止めた状態で言い返した。

「同じ小学校出身の女子に『これ、どうかな?』と言われたのに対して、お前が『中学はみんな同じセーラー服姿だから、後ろから見たら誰か分からなくなるよな!』と笑顔で断言して、殴られたよりはマシだ」

 拓斗は恋よりも食い気だ。面白いことにしか目がないという困った性格をしており、中学生だった頃、面白い騒ぎが起これば突入するといったトラブルメーカーとしても知られていた。

 何気なく会話をしながら歩いていると、目と鼻の先に、数年前に建て替えられたばかりの市立高校が見えてきた。大きな正門には上級生が立っており、今日から通う新一学年生の胸元に造花を付けている。
 正門の向こうには、噴水や大きな木や花壇が配置された校庭が広がっていた。そこにはプランターで花道が作られており、『新一年生はこちら』という案内の看板もあった。
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