悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
「というかお前、他のやつらは知らないんだから家のことは言うなよ」

 唯一家に呼んで遊んだのは拓斗くらいなもので、初めて実家を見た際に「これ、マジで家なの?」と言われた。あまり家庭事情について知られるのも面倒なので、理樹は他の同級生にそれを話したこともなかった。

 拓斗が「分かってるって、ごめん、つい」と軽い口調で謝った時、教室内が一部の生徒のざわめきで騒がしくなった。立ち上がった数人のクラスメイトの視線が、揃って窓の向こうを見ている。

 なんだ……?

 窓側の席だった理樹は、不思議に思ってそちらへ目を向けた。高校の正門に、昨日の帰りに見た長髪の女子生徒の後ろ姿と、学ランの男子生徒たちの姿があることに気付いた。

 同じようにそちらに目を留めた拓斗が、「やばくね?」と口にした。

「女の子一人に対して複数ってダメだろ。つか、風紀の奴らも先生たちも、まだ気付いてない感じ?」
「昨日も同じように絡まれてたな」
「あれ? 何、面識ある人?」
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