悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 そこで意思確認をするように、一度宮應が言葉を切った。

 じっと彼女を見つめ返して沙羅が、価値観や見方の違いを理解し受け止めようとするかのように「『そこまでとしか、見ることが出来ない』……それが、あなたが信じていることなのですね」と口の中で反芻した。

 宮應は「そうよ」と、躊躇もなく言って話を続けた。

「勝負は未制限、何度でもリベンジ可能。あなたが一本でも勝てば、九条理樹と交流を図る中で、あなたが近くにいようと私はもう何も言わないわ。けれど勝負が付くまでにあなたが途中で走ることを投げ出したら、あなたの負けよ。その時は、彼のことを少しの間だけでいいから諦めて大人しくしていてちょうだい」

 告げられた沙羅が、言われた内容を頭の中で整理するように沈黙した。
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