悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 そう答える西園寺の隣で、胸の下で自身を抱き寄せるように腕を組んだ宮應が、眉をつり上げたままほんのり頬を染めた。

 一同が揃って注目すると、宮應が途端に「ちょ、なんで皆で揃ってこっちを見るのよッ」と切れた。

「べ、別にッ、手を取られて『おいで、食事をしよう。嫌なんて言わないよね?』なんて強気で言われたわけじゃないんだからね!」
「……………」

 なるほど、その手で誘われてここに来たのか。

 理樹は冷静にそう分析して、宮應と西園寺がここにくるまでの流れを、なんとなく想像してしまった。つまり最強の武道派生徒会長として知られている彼女は、見た目の気の強さに反して、やはりリードされるような攻めに弱いらしい。

 沙羅が「いいなぁ」と呟いて、宮應に羨望の眼差しを向けてキラキラと瞳を輝かせた。レイがこちらを睨みつける中、拓斗が空気も読まず脇から腕でつついてきたので、理樹はテーブルの下にあった彼の足を思い切り踏んで黙らせた。

 西園寺が沙羅ににっこりと笑いかけて、こう言った。

「君にもあるといいね」

 理樹は、ちらりと向けられた西園寺の視線を無視した。
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