悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 理樹は、彼の頭を軽く叩いた。けれど拓斗は、どうしてか少しおかしそうに「こんな短気で乱暴な爺さんはいねぇか」と、叩いてくれて安心したとでも言うように笑った。
 椅子に座り直した拓斗が、吹っ切れたような顔をこちらに向けた。

「俺だったらさ、夫婦だった二人が同じ世界に、今度は同じ年齢で産まれたとかだったら運命を感じるけどなぁ。だって神様は、不幸にするために生まれ変わらせるとかは、しないと思うんだ」

 理樹の方の『解釈違い説』を推して、拓斗はそう語った。

 前世のリチャードやサラが、同じ年齢であったのなら、そして、もっと早く出会えていたらと願ったことはなかったのか。そうであれば、今の世界で五歳の頃に再会し、そして十六歳で同じ高校に通うことになっても不思議ではないのではないか。
 そこまでの説明を聞いた時、理樹は思わず口を挟んでいた。

「……拓斗、現実ってのはドロドロとしてるもんだぜ」
「……遠い目で言ってるところを見ると、説得力が半端ねぇんだけど」
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