悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 まるで違う家の子みたいに、顔立ちが完全に違っている。生まれた際にDNAが一致していたのは確認済みであるので、両親の実の子ではないという疑いの余地さえないのだが。

 でも、どうして顔が全く違っているのか、この直後に、俺は知る事になった。

 同じ環境で育ちながら、兄たちと全然性格が違っている理由も明らかとなる。

 それは、父と母が、同じく入園式に参加していたある夫婦に話しかけたのが始まりだった。先日はどうも、という社交繋がりの馴染みの挨拶がされたと思った時、俺はそこにきてようやく、着物を来たその女性の後ろに隠れている女の子の存在に気付いたのだ。

 彼女は、白い頬を桃色に染めて、どこか憧れの異性でも見るようなくりくりとした大きな目をこちらに向けていた。


「はじめまして、桜羽(さくらば)沙羅(さら)と申しますわ」


 他の女の子たちと同じようにスカートをつまみ、お決まりの口調で、彼女は自分の口から自己紹介してきた。
< 3 / 237 >

この作品をシェア

pagetop