悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 ベッドのそばにある椅子を引き寄せて、拓斗がドカリと腰を下ろした。

「お前、また一つ有名になったなぁ」
「はぁ? 突然なんだよ」

 ニヤニヤしている親友を訝しく見やると、続けてこう尋ねられた。

「それにしても見事に殴られてたけど、頭は平気か?」
「どこに衝撃を受けたのか、正確に認識する前にブラックアウトした」
「そりゃ重症だ。さすがは風紀委員会が期待する新人風紀部員だな、元風紀委員長をやってただけはある」

 気になるキーワードが聞こえたが、理樹はひとまず上体を起こして、衝撃を受けたと思われる頭の横あたりを手で探ることから始めた。

 もともと石頭なのが幸いしたのか、打ちどころが良かったのか。それとも体術に長けた人間による『意識を奪うための的確な攻撃』だったせいか、痛む箇所はなかった。……ほんのりと腫れているような気はするが。

「しっかし、お前が喧嘩に強い攻撃型だけじゃなくて、守りも上手いとは思わなかったわ。咄嗟にしては見事な腕前で、見てた一部の連中が『沙羅ちゃんの恋を応援する!』派に傾いたくらいだぜ」
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