悪党みてぇな貴族だった俺、転生した現代で小動物系美少女をふる
 そして体育の授業終後、教室で着替えている中で、斜め隣にいた男子生徒がそう不穏なことを呟いたのだ。

 その怨念のような言葉は、こちらに向けられたもののような気がする。

 理樹はズボンの中にシャツを押し込めていた途中、思わずその手を止めて、彼の方を見てしまった。

 席に腰かけて組んだ手を額にあててじっとしているのは、本日の体育を『自称体調不良』で休んだ木島(きじま)だった。男性にしては長い髪をしていて、髪を少し外側にはねさせる髪型に整えている。
 面長で顔は悪くないのだが、モテるためにバンドをやったり音楽やダンスの勉強をしても、一向にモテる気配がないと嘆いている少年だ。

 木島は部活動には所属していないが、友好関係が広く活動的で、校内の音楽サークルなどにもよく足を運んでいた。二学年生と三学年生に、同じ中学出身で仲の良い先輩が何人もいるからだ。校外でもバイト仲間やサークル仲間が複数存在しており、一番忙しい帰宅部生でもあった。
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