君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「よかった。なんかコソコソするのも嫌だったから、一応言っておきたくて。ごめんね、急に呼び止めて。じゃあ、それだけだから」
美希ちゃんは、悪びれるとかそういう感じは一切なく、寧ろ堂々としていた。
一緒に教室を出て別れたけど、さっき美希ちゃんに言われたことが頭を占領していて、いつのまにか職員室に着いていたことに気づかなかった。
「華山、どうした」
「っ、」
職員室の前にぼーっと立ってたらしく、入り口付近にいた先生に声をかけられてハッとした。
「あ、コピーしに来たんです。はは」
笑って誤魔化して、メニュー表のコピーを済ませた私はそのまま教室に戻った。
美希ちゃんに言われてから、心を支配し続けている黒いモヤモヤは、そのあともずっと晴れることはなかった。