君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
十也くんは、私の頭に手を乗せたまま続けた。
「華山、言いたいことはちゃんと言った方がいいぞ。・・・・・・なにかあったら、いつでも俺が話聞いてやるから。ひとりで無理すんなよ」
そう言ってポンポンと頭を優しく叩くと、
「鈴?」
私を呼んだ奏にチラッと鋭い視線を流すとそのまま行ってしまった。
「鈴?どうした?・・・・・・何してた?」
いつのまにか美希ちゃんはいなくなっていて、奏が私の右肩を掴んで顔を覗きこんでいた。
「っ、なんでもないよ。・・・帰ろ」
奏と目を合わせられず、そのまま歩き出す。
「鈴っ、どうしたんだよっ。何かあったんだろ?アイツに、なんか言われた?」
慌てた様子の奏が隣を歩きながらそう聞いてきた。
「ううん、何も言われてないよ。・・・十也くんは、ただ話を聞いてくれただけ」
「っ、話?なんかあったのか?・・・・・・なんでアイツに?俺に話せばいいだろ?」
「・・・・・・・・・部活のことだから。奏にはわからないよ」
あ、しまった。
咄嗟に出てしまった言葉に自分でも戸惑う。