君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜

「ん？美希がなに？」


「･･････いや、なんでもない」



言えるはずがない。



「は？･･･なんなんだよ･･･。鈴、お願いだから俺にも話して」


右肩を掴まれて、歩みを止められてしまった。


なんて、なんて話すの･･･。


十也くんも言いたいことは言った方がいいって言ってたけど、なんて話したらいいかわからない。


こんなみっともない、黒くて汚い感情を感じたのは初めてだ。


奏と付き合って幸せなはずなのに、なんでこんな感情になるの･･･。


自分が嫌になってくる。


「鈴？」


そう言って奏はまた下を向いている私の顔を覗き込む。


目に映った奏の瞳が悲しそうに揺れていた。



「･･････わかった。･･･話すから、もうちょっと時間ちょうだい」