君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
甘く解ける
あの後、私たちはほとんど話さずに同じマンションへ帰った。
お風呂に入りながらなんて話そうか考えてみるけど、『美希ちゃんが奏のこと好きで告白しようとしてる』なんて、やっぱり言えない。
チャプン
湯船のお湯にこのモヤモヤした気持ちも溶けてしまえばいいのに。
校門で見た、奏と美希ちゃんの姿が浮かぶ。
奏と付き合う前だって、ふたりが一緒にいるところは何度だって見かけているはずなのに。
今はなんでこんなに苦しいの・・・。
美希ちゃんが奏のことを好きだと知ってしまったから・・・だよね。
触らないでよ。
そんなに近づかないでよ。
美希ちゃんに対してそんなことを思ってしまった。
こんな自分、知らない。
こんな醜いこと思ってるなんて奏に知られたら、きっと嫌われちゃう・・・。
どうしたらいいの・・・。
湯船に浸かってしばらく考えてみたけど、結局答えは出ないままお風呂から出た。