君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
プリンセスと王子
奏side.
学園祭当日。
一般客も招き入れる星宮祭は、午前中から賑わいを見せていた。
どこもかしこも、人で溢れかえっている。
俺たちのクラスはクレープカフェをやっていて、男子は黒エプロン、女子は白いフリフリのエプロンを制服の上から着て接客や調理をやっている。
俺は「呼びかけして来い」と看板を持たされ、エプロンを付けたまま客引きをしている最中だ。
「きゃー!お兄さんカッコいいー!案内してくださーい」
「連絡先教えてくれません?」
「お名前なんて言うんですかー?」
さっきからこんなんばっかりで正直うんざりしている。
ある程度宣伝したら、休憩していいって言ってたな。
そろそろ上がるか。
教室に看板を戻して、声かけてからとりあえずトイレに向かった。