君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「・・・・・・」
私たちを横目に武道場の中へ入っていく十也くん。それを黙ったまま目で追う奏。
「・・・・・・なんで、アイツ?」
う。声が低くなった。
「いや、特に意味はなくてっ、プリンセスがいるなら、王子もいた方がいいよねって感じで、みんなの推薦で十也くんに決まったの。ただ衣装がそうなってるだけで、ふたりで何かあるとかそういうのはないからっ」
慌てて弁明する。
自分でもびっくりするくらい饒舌だ。
「はぁ。・・・なんか、頭いてぇ」
そう言って、右手を額に当てる奏。
「えっ、大丈夫?」
私も奏の額に手を伸ばそうとしたところ、パシっと腕をとられた。