君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜


体育館の窓には全て暗幕が降ろされ、ステージだけが明るく照らされている。


後ろのパーカッションやチューバ、トロンボーン、トランペットなどの金管楽器から順に席についていき、総勢60名が着席した。


ステージから見る客席は暗くて、前の方しか人の顔はわからないけれど、体育館の後ろの方までたくさんの人が入っていることはわかる。


これだけの人たちに、私たちの演奏を聴いてもらえると思うと更に気持ちが高ぶってくる。



最後に入って来た指揮者の合図で、全員が楽器を構えた。


スッ、スッ


手の振りに合わせて、オープニング曲が始まった。

存在感のあるティンパニとパーンッと弾けるような金管楽器、その上を軽やかに走るような私たち木管楽器の音。

この始まりの一体感が私は大好きだ。


初めて、お母さんが所属していたオーケストラを聴いたときは鳥肌が立って、目が潤んだのを覚えている。


私たちもその感動を誰かに与えられているだろうか。


1時間の持ち時間の中で曲が進んでゆく。

観客が飽きないよう、途中で動きを入れてみたり、とにかく演奏している私たちが楽しんでいた。

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